Hitomiの父がなくなったときに書いた詩です。

父の日に

5月
北の大地ではまだ桜が咲いている
そんな季節に
父は逝った

長い闘病生活だった
父の体は日に日に小さくなり
日に日に動かなくなり
そうしてパタリと呼吸が止まった

小さな個室の音が止まった

最期まで希望を捨てずにいた母は
喪主という重みに耐えかねていた

口うるさい父だった
見栄っ張りで、いつも貧乏ばかりしていた
でも・・・
父によく似ている自分がいた

父さん
もっといろいろ話したかったよ
私なりに尊敬していた
私なりに愛していた
上京したいという私に
父さんが一番理解を示してくれた

父さん
わがままな娘だった
自分の好きなことばかりやって
父さんのこと悲しませたね

意識がなくなっていく中
「ありがとう」と口だけが動いた
そうして静かに目を閉じた

小さな個室に小さな風が吹いた

49日の前に父の日が来た
1通の電報を送った

父さん
最期に「ありがとう」って言ってくれて
ありがとう