手抜き主婦ヒトラー第50話
「穴掃除」

妻は夫をかまいたくて仕方がない。
そして、妻は「穴」の掃除が大好きである。

夫の耳の穴の掃除、鼻の穴の掃除、穴という穴を綺麗にしてあげたい。
夫が自分で耳掃除をしようと綿棒に手が伸びると、
妻は「ちょっと待ったー!」と叫んでしまう。
夫には、「僕の掃除より部屋の掃除をしてよ〜」と言いながらも、
「あんたホントに僕のことかまいたいんだね〜」と
妻が使う「綿棒」に身をまかせながら
まんざらでもない顔をしている。
そうして妻の行動はどんどんエスカレートしていき、
最近はへそのゴマも綿棒で取ってあげている。

特に、耳の穴掃除が大好き。
これは昔からで、電車などで耳垢のたまっている人を見ると
思わず手がうずうずしてしまう。
この仕事を引退したら、「耳かき屋」になろうと本気で考えたことがある。
(一回500円って高い?)

夫と結婚してから気づいた、唯一の誤算は「くちゅくちゅ耳」。
やっぱり耳掃除は「かさかさ耳」が最高だ。
本当は綿棒より、「耳かき」を使いたい。
ぼろっと大きいのが取れたときの感動といったらない。
北海道に帰ると、姪や甥に嫌がられながら、
耳を覗かせてもらっている。

あーこうやって書いているそばから、耳かきがしたくなる。
年をとったら、うずうずしていた手が伸びてしまって
赤の他人の耳に手を入れてしまわないだろうか。
それが心配だ。